ペーパーレス化とは?取り組む意味やメリット、デメリットを解説

ペーパーレス化とは?取り組む意味やメリット、デメリットを解説

ペーパーレス化は、紙の書類を電子データに置き換え、業務の効率化やコスト削減などを目指す取り組みです。
耳にしたことはあっても、具体的には想像できない方も多いのではないでしょうか?
今回は、ペーパーレス化の意味や現状、メリット・デメリット、成功のポイントまで、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説します。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、業務における紙の使用を減らし、電子データでの管理ややり取りを推進する取り組みのことです。書類の印刷や郵送、保管スペースの削減が可能となり、業務効率の向上やコスト削減が期待できます。

ペーパーレス化を行う意味とは?

ペーパーレス化を進めることで、以下のような効果が期待できます。

  • 業務効率の向上:書類の検索や共有が迅速になり、作業時間の短縮が可能です。
  • コスト削減:紙、インク、郵送費用などの経費を削減できます。また、保管場所や人件費なども削減が見込めます。
  • 環境への配慮:紙の使用量が減少し、森林資源の保護に貢献します。近年流行のSDGsにもつながります。
  • セキュリティ強化:電子データはアクセス権限を設定することで、情報漏洩のリスクを低減できます。
  • 働き方改革・DX化推進:ペーパーレス化を行うということ自体が働き方改革・DX化につながります。

ペーパーレス化の現状

まずは、ペーパーレス化の現状について見ていきましょう。

2020年時点で60%以上の企業が社内のペーパーレス化を推進

2020年の総務省の調査によると、社内業務のペーパーレス化を「直近3年内に実施 にしている」と回答した企業が18.0%、「3年以上前から実施している」と回答した企業が42.4%と約60%の企業が社内業務のペーパーレス化を進めていると回答しています。※1
電子帳簿保存法の改正や新型コロナウイルスの影響で、テレワークの導入が進み、ペーパーレス化の動きが加速したと考えられています。

※1 株式会社 情報通信総合研究所.”デジタルデータの経済的価値の計測と 活用の現状に関する調査研究の請負 報告書”.総務省 情報流通行政局情報通信政策課情報通信経済室.2020,https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r02_05_houkoku.pdf(参照2025/10/22)

日本政府もペーパーレス化を推進

日本政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定し、行政手続きのオンライン化や電子契約の推進など、ペーパーレス化を積極的に支援しています。
「働き方改革」(2019年施行)では、重要施策のひとつとして「ペーパーレス化」が挙げられるなど、国家単位で推進を進めています。

【参考】デジタル庁:デジタル社会の実現に向けた重点計画
https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program?utm_source=chatgpt.com

ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化を行うことで得られるメリットは以下の4点です。

  • 1.コスト削減と業務効率の向上
  • 2.環境への貢献と企業イメージの向上
  • 3.情報管理の透明化とセキュリティの向上
  • 4.働き方改革・DX化の足がかりになる

コスト削減と業務効率の向上

ペーパーレス化により、印刷や郵送の費用、保管スペースの削減などのコスト削減が可能となります。
資料やマニュアルをペーパーレス化した場合、紙の時と比べすぐにアクセスできることから業務効率向上にもつながるでしょう。

環境への貢献と企業イメージの向上

紙の使用量が減少することで、CO₂排出量の削減や森林資源の保護に寄与します。また、環境への配慮は企業の社会的責任(CSR)として評価され、ブランド価値の向上にもつながります。

情報管理の透明化とセキュリティの向上

電子データはアクセス権限の設定やログ管理が紙のものに比べ容易であるため、情報漏洩や改ざんのリスクを低減できます。特に個人情報や機密情報の取り扱いにおいて、セキュリティ強化が期待されます。

働き方改革・DX化の足がかりになる

ペーパーレス化は単なる紙削減にとどまりません。
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも直結します。書類のデジタル化により、場所や時間に縛られずに業務を進められるため、テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方が可能になります。また、データ共有や承認フローをオンライン化することで、業務のスピードと透明性が向上し、企業全体の生産性向上にも貢献することでしょう。

ペーパーレス化のデメリットと課題

今度はペーパーレス化のデメリット、課題についてご紹介します。

  • 1.初期投資や技術導入のハードルが高いことも
  • 2.一定のITリテラシーが必要
  • 3.デジタルデバイドへの配慮が必要
  • 4. 閲覧できなくなるリスクがある
  • 5. 関連する法令を理解し遵守する必要がある

初期投資や技術導入のハードルが高いことも

システム導入や従業員の教育にはコストと時間がかかります。特に、中小企業では予算や行う人員などのリソース確保が課題となることがあります。

一定のITリテラシーが必要

従業員がITに不慣れな場合、操作方法の習得やトラブル対応に時間がかかり、生産性の低下を招く可能性があります。

デジタルデバイドへの配慮が必要

デジタルデバイドとは、インターネットやパソコンなどの情報通信技術(ICT)を利用できる人、できない人との間に生じる「情報格差」のことです。高齢者やIT機器を利用できない環境にある従業員への配慮が必要です。紙と電子の併用やサポート体制の構築が求められます。

閲覧できなくなるリスクがある

地震など災害や、サイバー攻撃の被害に遭った場合、閲覧できなくなるなどのリスクがあります。適切なセキュリティ対策やバックアップ体制の構築が不可欠です。

関連する法令を理解し遵守する必要がある

電子帳簿保存法やe-文書法などの関連する法令を理解し、遵守する必要があります。最新の法制度を把握し、適切に運用することが求められます。
「農地の賃貸借契約書」など、紙での保管を義務付けられている書類もあるので注意が必要です。

ペーパーレス化できないものもある?

準備が整えばなんでもペーパーレス化できるように思えてしまいますが、上述の通り、電子データとしての保存を認められていない書類も存在します。

・船舶の手引書などの災害時や緊急時に閲覧する必要がある書類

・免許証や許可証などの現物性が高い文書

e-文書法や電子帳簿保存法では、上記のような書類はペーパーレス化対象外であるため注意しましょう。このように、ビジネスで使っているすべての紙類を電子化するというよりも、紙管理と電子管理を使い分けることが重要です。

ペーパーレス化成功のためのポイント

ペーパーレス化を推進するにあたって、押さえておきたいポイントをご紹介します。

現場など周囲の理解を得る

これまで紙で運用していたものを突然電子データに、と言われると戸惑う人も少なくないはずです。慣れた方法を変えることになるため、ペーパーレス化を進めていくうえで大きなハードルとなるかもしれません。
そのため、まずはペーパーレス化の必要性やメリットについて周囲に根気よく説明し、理解を深め、社内全体の同意を得ることが必要です。

一度に行わず段階的に進めていく

一度ですべてのデータをペーパーレス化しようとすると、行う人員の負担、関係各所への影響が大きく、混乱や業務効率の低下を招く可能性があります。
まずはペーパーレス化をしても影響の小さい部分で試してみましょう。問題ないようなら部署や業務単位などで区切りをつけ、優先度の高い部分から進めていくことをおすすめします。

目的に適したツール・サービスの導入を検討する

ペーパーレス化を進めていくには、自社の目的や用途に応じたITシステム・サービスの活用が不可欠です。ペーパーレス化に貢献してくれるツール・サービスには目的・用途に応じて様々なものがあります。
例えば自社の製品カタログをペーパーレス化したい場合は、デジタルカタログにするという選択肢があります。デジタルカタログを作成する方法も複数存在するため、「自社の用途に合った機能のシステム・サービスを選ぶ」という視点で選定するとよいでしょう。

以下のページで、オススメのソフトと制作代行サービスをいくつかご紹介しています。

まとめ

ペーパーレス化は単なる紙削減ではなく、業務効率化やコスト削減、環境配慮、情報管理の強化など多くのメリットをもたらします。導入にはシステム選定や従業員教育、セキュリティ対策などの課題もありますが、信頼できるパートナーと適切なツール選びで成功率は高まります。実際に企業や自治体の事例でも、業務時間短縮やコスト削減が実現しています。自社の業務フローやニーズを整理し、段階的にペーパーレス化を進めることが重要です。