教科書をデジタルブックで導入したい教育機関・指導者のための基本知識

2024年から小学校では「デジタル教科書」を導入する方針です。教育機関でデジタル教科書を導入すると、教員の業務負担を減らすことができ、生徒と向き合う時間が増えます。

本記事では、デジタル教科書のメリット・デメリットなどについて解説します。教育書をデジタルブックで導入したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

デジタル教科書とは

「デジタル教科書」とは、紙の教科書と同様にパソコンやタブレット端末で見られる電子化された教材です。指導用と学習用の2つに分けられます。

指導者用デジタル教科書は、教員向けに開発されており、使用する場合にはプロジェクターや電子黒板などを使用して、情報を生徒に向けて掲示しています。

学習用デジタル教科書は、生徒が使用するために開発された教科書です。デジタル端末で使用しやすくなっており、書き込み機能・印刷機能・拡大機能・音声再生機能などが搭載されています。

紙の教科書に劣らないほどの機能が搭載されているため、子どもたちにとって勉強がしやすいです。文部科学省では、ゆくゆくはデジタル教科書を小中学校に導入する方向で進めています。

デジタル教科書のメリット・デメリット

デジタル教科書は、生徒側と教員側にメリットとデメリットがあります。デジタル教科書のメリット・デメリットについて、見ていきましょう。

メリット

デジタル教科書を使用する際のメリットは、下記の3つです。

・ 教員の負担が減り、ペーパーレス化につながる
・ デジタル機能により生徒の学習への理解が深まる
・ 生徒の学習状況を把握して指導方法を改善できる

教育のデジタル化により、生徒たちへ配布するプリントなどを準備する手間が省けます。たとえば、今まで紙で行っていた業務をタブレット端末で行えるようになると、教員の業務負担が大きく軽減します。

また、デジタル教科書があれば、生徒は音声や動画を利用して学習への理解を深められます。たとえば理科の実験の際、写真や文章での説明では理解しにくかった生徒も、動画を用いるとイメージが湧きやすくなる傾向があるため、より理解を深めやすいでしょう。

デジタル教科書を活用すると、学習した履歴を残せるほか、テストの点数が把握できるようになっています。そのため、教員は生徒がどこまで勉強を理解できているのか把握しやすくなるため、生徒一人ひとりに合った指導を行えます。

こうして生徒と向き合う時間が増えると、生徒の悩みにも気づきやすくなります。悩みに対して早い段階で働きかけを行うなど、心理的な側面からも生徒の学習をサポートできるでしょう。

デメリット

デジタル教科書を使用する際のデメリットは、下記の2つです。

・ 目が疲れて視力の低下につながる
・ セキュリティ管理が必要

タブレット端末やパソコンの画面を長時間見続けると、眼精疲労やドライアイにつながり、視力が低下してしまいます。ブルーライトは強い光であり、長時間見続ければ目に負担がかかってしまうので注意が必要です。

タブレット端末を長時間使用しないと決めて、こまめに目を休めるようにし、学校の授業中に使用する程度にしましょう。

また、デジタル教科書を活用する際には、セキュリティ管理が必要です。万が一、生徒がタブレット端末を紛失してしまった場合には、生徒の氏名や学校の成績など、個人情報が流出する可能性があるでしょう。

教員、生徒、保護者のすべてが、セキュリティ管理に気を使う必要があるといえます。

デジタル教科書の普及率と今後

デジタル教科書が普及すると、生徒たちが主体的に新しい勉強の仕方に触れやすく、ほかの生徒たちの考え方を比較して対話的な学びを実現できるようになります。デジタル教科書の普及率と、2024年の導入について解説していきます。

現状の普及率

2022年3月に行われた調査によると、生徒が使用するデジタル教科書の普及率は35.9%です。2021年3月の普及率が6.2%であるのに比べると急速に伸びており、デジタルで学びを深めていく段階に来ています。

読み書きが困難な子どもにとって、文章の読み上げや拡大表示機能が搭載されているデジタル教科書はとても便利です。教員の業務負担を減らす以外に、特別な支援を必要とする子どもたちのためにもデジタル教科書の普及が期待されるでしょう。

2024年度に本格導入

教科書を改訂するタイミングの2024年度に、デジタル教科書の本格導入を目指しています。すでに2022年度には、全国の小学5・6年生と中学生に、デジタル教科書の無料配布が始まっています。

紙の教科書と併用していき、どのような導入効果があるのか把握し、教科、学年ごとに段階的なデジタル教科書の導入を進めていく方向です。

2024年度に先行して導入される教科は、小学校・中学校の英語です。続いて、授業時間が多い数学も検討されています。

デジタル教科書の重要性が高まっているため、メインの教科書となる日が近づいています。学校側はデジタル教科書の導入へ向けて、一刻も早く態勢を整えていくべきです。

まとめ

本記事では、デジタル教科書のメリット・デメリットなどについて解説しました。デジタル教科書には、教員の業務負担を軽減できるだけでなく、生徒にとっても今まで以上に学習への理解を深められるメリットがありました。

デジタル教科書を導入して、教員は生徒たちの学習状況を把握して生徒一人ひとりに合った指導をしていきましょう。