冊子の作り方を6つのステップに分けて解説!作るときの注意点は?

昨今は、SNSやインターネットを利用した宣伝が各企業で行われていますが、依然として紙媒体を利用した広告も高い効果を発揮し続けています。

そのため、現在でもクライアントやお客様に渡すためのパンフレット、商品カタログなどの冊子を作っている企業は珍しくありません。

そこで、今回は冊子の作り方を6つのステップに分けて解説します。冊子を作る前に、しなければならない作業や初心者が注意すべきポイントについても取り上げているため、ぜひ最後までご覧ください。

冊子を作る前にすること

冊子作りにおいて、段取りはとても需要です。段取りが悪ければ、期限以内に成果物を完成させられません。初心者であれば、尚更です。

段取りよく作業を行うためには、事前準備をしっかり行う必要があります。以下、冊子を作る前に決めておきたい要素の一覧です。順番にチェックしていきましょう。

製本方法を決める

一般的に、製本には糊を使用する方法と、ホッチキスを使用する方法があり、どちらも低コストかつ簡単にできるため、個人で作成する際にも利用されています。とくに使用されているのが、無線綴じと呼ばれる製本方法と中綴じと呼ばれる方法です。

無線綴じは、本文が書かれた紙を1枚ずつページ順に重ね、背の部分に糊などの接着剤をつけてから表紙で包む製本方法で、ホッチキスや糸などの線を使用しないため無線綴じと呼ばれています。

無線綴じを採用する場合は一定の厚みがなければなりません。また、ページが多すぎても接着剤で紙が固定できなくなるため、500ページ以内のカタログや作品集に使用されるのが一般的です。

中綴じは、プリントした紙を重ねて、中央から二つ折りにし、折り目部分にホッチキスや糸を通して固定する製本方法で、表紙と本文を二つ折りにして綴じる関係上必ずページ数は4の倍数になります。

主にパンフレットや同人誌などの製本に使用されており、綴じられる紙の枚数はホッチキスの性能次第ですが、50ページまでは対応可能です。製本方法は1種類だけではありません。作りたい冊子のページ数や種類、費用などを考慮して最適な製本方法を選択しましょう。

冊子のサイズを決める

冊子を作る前に、サイズも必ず決めておきましょう。冊子の大きさは、一般的に閉じた状態での大きさを指します。

そのため、印刷用紙は完成予定のサイズに対して、2倍の大きさのものを使用してください。たとえば、A4サイズの冊子を作成する場合は、A3の用紙にプリントしましょう。

基本的に冊子のサイズは任意ですが、作成する冊子の種類によって向いている用紙のサイズは異なります。A4サイズはレポートやセミナー資料、パンフレットを作成する場合に用いられ、B5サイズは広報や同人誌に用いられる場合が多いです。

また、家庭で作成する場合は家庭で使用できるプリンターの性能を考慮して、A5で作るのをおすすめします。ちなみに、用紙の大きさはA1、A2、A3のように数字が小さくなるほどサイズが小さくなるため、製本の基本知識として覚えておきましょう。

冊子の開きを決める

冊子の開きは右開きと左開き、2種類のどちらかを採用することが多く、それぞれ綴じられている側を指して右綴じ、左綴じとも呼ばれます。勘違いされやすいですが、左から右にページを開くのが右開き、逆に右から左へページを開くのが左開きです。

開きの向きは、本文が縦書きか横書きかによって決定されます。縦読みの場合は右開き、横読みの場合は左開きとなるのが一般的です。

本文が縦書きのとき、視線は右から左へと流れていきます。そのため、右開きであれば視線の動きに無駄がなく、スムーズに本文を読めるため、読者は記載されている内容に集中しやすいです。

一方で、横書きのときは左から右へ視線は流れていきます。そのため、縦書きとは逆の左開きを採用した方が読者は読みやすいです。

右開きは縦書きで書かれている小説や国語の教科書で用いられており、左開きは横書きで書かれることが多い数学や英語の教科書、図面やイラストを使用して解説を行なっている取扱説明書などに用いられています。

ただし、後者に関しては、主要な文章が縦書きの場合、右開きで作成されることも珍しくありません。

冊子の作り方

それでは、いよいよ具体的な冊子の作り方について、6つのステップに分けて紹介します。それぞれの工程は最終的な成果物の品質に大きく関わるものばかりなので、確実にこなせるようにしてください。

ステップ1:ページ数を決める

冊子を作る最初のステップは、ページ数の決定です。基本的にページ数は4、または8の倍数にします。

ページ数を4、または8の倍数にするのは、印刷会社で1枚の大きな紙に複数ページ面付してプリントする際、1枚の紙にプリントする原稿を8ページ面付けするからです。そのため、紙の無駄をなくすためにも8の倍数でページ数を揃えるのが理想とされています。

4や8の倍数でページ数を揃えられない場合は、本文のレイアウトを工夫する、最後に白ページやメモ書きスペースを作成するなどして対応してみましょう。

そして、ページの限界数は製本方法によって異なります。印刷会社によって使用している印刷機器の性能に差があるため、あくまで参考数値ですが無線綴じの場合は最小4ページから最大800ページ、中綴じの場合は最小4ページから最大50ページまで対応可能です。

ページ数を決める際、ページは表紙と裏表紙を含んでカウントするため、数え方には注意しましょう。また、大まかな構成と完成イメージは、ページ数を決める段階で一緒に決定することが多いです。

レイアウトについては、プリント時に微調整を行うため大まかに決めておくだけ問題ありません。

ステップ2:面付け作業をする

ページ数が決まったら、次は面付け作業を行います。面付けとは、印刷機で原稿をプリントする前に、1枚の印刷用紙に対して複数の印刷データを正しい順番で配置する作業です。

刷り上がったものを製本すると、各ページ面が正しく付け合わされるため面付けと呼ばれています。印刷物のサイズや用紙の大きさなど、条件によって面付けする数は変化するため、丁寧な確認作業が必須の工程です。そんな面付けには、2種類の方法が存在しています。

1つ目は、基本的な面付けと呼ばれる方法です。1枚の用紙に配置するページ数は最大16ページで、表面8ページ分、そして裏面8ページ分を大きな用紙に配置してプリントします。主に無線綴じで作成する際に用いられる方法です。

2つ目は、中綴じの面付けと呼ばれる方法で、その名のとおり、中綴じで作成する際に用いられます。1枚の用紙に配置するページ数は基本的な面付けと同じで、ページ数のパターンは2、4、8、16のいずれかになります。

面付は基本的に印刷会社サイドが行なってくれる作業ですが、個人で作成する場合は自力で行わなければなりません。しかし、昨今は高品質の面付けツールをオンライン上で利用できるため、必要に応じて活用してみましょう。

ステップ3:ページ順に原稿を作る

続いて、ページ順に原稿を作成します。かつて原稿は紙に書くのが一般的でしたが、昨今はデータ入稿を筆頭に原稿の作成方法も多様化しており、原稿の書きやすさや扱いやすさに応じて自身に合ったものを選択しましょう。

たとえば、WordやExcel、PowerPointなど、マイクロオフィス社が提供しているオフィスソフトを活用して原稿を作成する人もいます。

原稿を作るためには、多少の慣れが必要ですが、サイズの変更が容易かつおしゃれなテンプレートが多数備わっているため、使いこなせるようになると原稿制作の幅を広げることが可能です。

また、オンライン上で入手できるテンプレートを利用して原稿を作成する人もいます。テンプレートはサイズの変更が簡単にはできませんが、最初から印刷と製本を想定して作られているため確認作業の手間を省けます。

これらの原稿は、レイアウト崩れを防ぐためにPDF形式で保存しておくのが一般的です。

原稿を作成する際は、製本方法に応じて注意すべき点があります。無線綴じの場合は、背中側に接着剤を使う関係上、真ん中にできる綴じ部分までしっかり開けません。そのため、綴じる部分に余白を作る必要があります。

そして、中綴じの場合は原稿の5mm以上内側に文字や画像を入れてください。紙の厚み次第では、仕上げのカットの際に小口部分に記載した文字や画像もまとめてカットされてしまう可能性が高いです。

ステップ4:最適な用紙を選ぶ

冊子を作成する際は、印刷用紙にも気を配りましょう。冊子作りに適した紙は、内容や厚さなどによって変わります。

どんな種類の冊子を作成する場合も必ず注意しなければならないのは、用紙の厚さです。用紙が厚すぎると、ページ数が限定されてしまったり、ホッチキスなどで原稿が固定できなくなったりします。

無理矢理綴じると強度にも問題が発生するため、適切な厚さの印刷用紙を準備してください。本文に使用される用紙のなかでも、代表的なのが上質紙です。上質紙はきめ細かくコシの強い用紙で、論文や文集など文字中心の印刷物を作成するのに向いています。

一方で、カラー原稿をプリントすると色が沈んでしまうため、写真や絵をプリントするのはおすすめしません。

写真や絵が使われている原稿を扱う場合は、コート紙を使用するのが一般的です。コート紙は表面をコート剤と呼ばれる塗料でコーティングされた用紙で、光沢と艶があります。発色がよいだけでなく、インクの乾きも早いため印刷工程にかかる時間も短いのが特徴です。

そのほかにも、艶を抑えたコート紙であるマットコート紙や、手触りとめくりやすさが特徴の書籍用紙などが使用される場合もあります。用紙選びの際は、実際に手に取るなどして、使用感をイメージしながら行うとよいでしょう。

ステップ5:原稿を印刷する

原稿が完成し、印刷用紙の選定も完了したら原稿の印刷工程に入ります。プリントを自力で行う場合は家庭用のプリンターを使用しますが、両面印刷するのを忘れないようにしましょう。

家庭用プリンターがない場合や、家庭用プリンターが原稿サイズに対応していない場合は、コンビニのマルチコピー機を利用するのもおすすめです。マルチコピー機では面付け作業や中綴じの冊子制作などができるため、原稿のデータ作りも簡単に行えます。

自力で印刷するのが心配な人、確実に原稿のプリントをしたい人は、印刷請負業者の利用を検討してみましょう。印刷請負業社にはネット印刷と印刷会社の2種類があり、それぞれ異なる利点があります。

ネット印刷は、価格の安さが魅力です。また、オンラインで印刷の注文を行っているため、24時間365日いつでもプリントの依頼ができます。

ただし、データの不備が見つかって原稿を差し戻されたり、成果物が思っていたものと違う仕上がりになったりするなど、業務の柔軟性に欠けるのがデメリットです。

印刷会社は、プリントに関する深い造詣を有した専門家が多数在籍しており、作業工程の打ち合わせや使用する印刷用紙の提案など、手厚いサポートと確かな仕事をしてくれます。

ネット印刷と比較すると印刷費用が高くなりがちですが、コストの問題をクリアできる場合は印刷会社の利用がおすすめです。

ステップ6:製本して冊子にする

原稿のプリント工程まで終了したら、いよいよ仕上げ作業に入ります。製本して、冊子の形に整えましょう。

印刷請負業社に依頼している場合は製本作業まで行ってもらえるケースがほとんどですが、個人で作業をするのであれば製本も自力でする必要があります。しかし、一般的な家庭にある道具だけでも、十分製本は可能です。

たとえば、ホッチキスと段ボールがあれば中綴じができます。折り目を作った原稿を段ボールの上に置き、ホッチキスを180度開いた状態で折り目の部分に差し込むことで、原稿を固定できます。あとは、貫通した針の部分をホッチキスの金具部分で整えれば完成です。

冊子を作るときの注意点

作業工程を把握し、丁寧な作業を心がければ、初心者でも冊子作りは可能ですが、事前に押さえておきたい注意点がいくつかあります。成果物の品質を高めるためにも、順番にチェックしていきましょう。

ズレが生じやすい

手作業ですべての工程を行う場合、製本時にズレが生じやすくなります。特に中綴じで製本する際は注意が必要です。

中綴じは紙を重ねて二つ折りにし、背になった部分をホッチキスなどで留めて製本します。すると、構造上紙の厚み分ノドの位置がずれてしまい、中心側のページがはみ出てしまいがちです。

ページ数が多いほど大きくはみ出してしまいますが、紙を重ねて二つ折りする構造の関係上、ズレは避けられません。そのため、製本方法として中綴じを選択する場合は、はみ出た部分を裁断して全体を整える必要があります。

また、裁断するとはみ出た部分に記載されていた文字や絵が切り取られる可能性が高いため、あらかじめ原稿作成時に余白を多くするなど、各種工夫が求められます。

パソコンやプリンターがないと作りづらい

昨今は冊子を作るにあたって、パソコンやプリンターを使用するのが前提となっているケースが多いです。原稿の作成、レイアウトの配置決め、そして出力に至るまで、すべての工程でパソコンやプリンターの存在が欠かせません。

そのため、パソコンやプリンターが手元にない、または操作に慣れていない人は、かなり作業に苦戦するでしょう。パソコンやプリンターを所持していない人は、ネットカフェの利用を検討してください。

最近のネットカフェではWordやExcelなどのオフィスソフトを搭載しているパソコンや、A3サイズのプリントまで対応可能な高性能プリンターを設置しているお店も多いです。場合によっては、自宅の機器で作業をするよりも高品質の成果物を作成できます。

初めは失敗しやすい

冊子作りの工程にはそれぞれ経験と慣れが必要です。たとえば、原稿の余白作りに失敗してしまい、絵や文字が製本時に切り取られたり、ノド部分に挟まったりして読めなくなる、面付けに失敗してページ順がおかしくなってしまうなど、枚挙に暇がありません。

そのため、最初は印刷請負業者を利用するなど、本作りの知見がある人の力も必要に応じて借りてください。少しずつ知識と経験を身につけていけば、失敗の回数も減らせるでしょう。

大部数の作成は個人では難しい

冊子を作成するためには、事前準備を含め多数の工程が存在しています。そのため、個人で大部数の生産は困難です。とくに製本はほとんどの場合手作業で行うため、品質のばらつきも発生しやすくなります。

大部数が必要なケースでは、やはり印刷請負業者を利用するのがよいでしょう。個人で作業するよりも費用はかかりますが、労力も減らせますし、何より専門家が作業に関わるため品質も安定します。

まとめ

以上、冊子作りの流れや注意点について取り上げてきました。昨今は、同人誌に代表されるように、個人で本や冊子を作成するのはごく一般的となっています。

しかし、原稿作りや製本には注意点やコツが多数存在しており、商業用の冊子を慣れていない人が自力で作るのは、依然としてハードルが高いです。そのため、初心者の間は印刷請負業社などを利用した方が安心できます。

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